不動産の売買契約書には収入印紙が必要?印紙税はいくら納めないといけないのか

不動産売買契約書に貼る印紙の金額は、不動産の成約価格によって異なります。
不動産の売却を控えていて「印紙代がいくらかかるのか知りたい」という方は、印紙税額だけでなく軽減税率についても理解を深めておきましょう。
印紙税は正しく納税しないと過怠税が発生する可能性もある税金です。
ここでは、不動産の売買契約における印紙税について解説します。

収入印紙は不動産の売買契約書で納める税金

 

印紙税とは、財産や権利に関係する取引にかかる税金のことです。
取引にまつわる特定の書類(売買契約書や領収書など)に収入印紙が貼られていると、法律に則った取引であることを証明できます。
収入印紙は証票と呼ばれ、書類に貼り付けて消印することで印紙税を納税したことになります。
所定の金額の収入印紙を購入しただけでは納税の扱いとならない点に注意しましょう。

不動産売買においては、売買契約を結ぶ際の不動産売買契約書に、売主様・買主様各々で成約価格に応じた金額の収入印紙を貼り付けます。
連名名義などで同じ売買契約書を複数作成する場合は、売買契約書1通ごとに所定の金額の収入印紙を貼り付ける必要があります。

いくらの収入印紙を用意しないといけないのか

 

前述したように、不動産売買契約書に貼り付ける収入印紙の金額は成約価格によって異なります。
不動産売買における印紙税には軽減措置が設けられ、平成26年4月1日から令和4年3月31日までに作成された不動産売買契約書には軽減税率が適用されます。
これまで、不動産売買にかかる印紙税の軽減措置期間は令和2年3月31日までと公表されていましたが、令和2年4月1日の改訂により、軽減措置期間が延長されています。
成約価格に応じた印紙税額(購入する収入印紙の金額)は、下表をご確認ください。

印紙税は誰が納めるのか

収入印紙は、不動産売買契約書1通につき1枚(所定の金額)必要です。
通常、不動産売買契約書は売主様保管分、買主様保管分の最低2通を作成します。
不動産売買契約書に貼る収入印紙は、売主様と買主様が各自で支払うケースが一般的です。
不動産売買契約書を2通以上保管する必要がある場合、契約書の部数の数だけ収入印紙を貼る必要があり、不動産売買にかかる諸費用が増える点に注意しましょう。
また、不動産売買契約書の複製(コピー)を扱う場合、「原本と相違ない旨を記載しているもの」についてはコピーであっても収入印紙を貼る必要があります。
不動産売買契約書の複製を扱うケースは多くはありませんが、法律上の問題など専門知識が必要となることも考えられます。不安があれば不動産仲介会社などの専門家へ相談しましょう。

収入印紙はどこで購入するのか

 

収入印紙の種類(額面)は、1円~10万円までで31種類あります(令和2年6月現在)。
このうち、不動産売買において扱われるケースが多いのは200円以上の収入印紙です。

収入印紙の購入場所は種類によって異なるため、必要に応じて、取り扱いの有無を確認しておきましょう。
収入印紙を購入できる場所は、以下のとおりです。

• コンビニエンスストア(一部店舗除く)
コンビニエンスストアでは、200円など、金額の低い収入印紙を購入できます。
ただし、企業によって取り扱いの範囲が異なり、同じチェーンのコンビニエンスストアであっても店舗によって取り扱いがない場合もあります。

• 全国の郵便局
郵便局の郵便窓口では、原則、全31券種の収入印紙を購入できます。
規模が小さい一部の郵便局では、5万円以上などの高額な収入印紙の取り扱いがない場合もあるため注意しましょう。
駅近郊などに位置する規模の大きな郵便局では、比較的幅広い券種の取り扱いがあります。

• 全国の法務局
法務局に併設された売店では、全31券種の収入印紙を購入できます。
郵便局のように局舎規模による取り扱いの違いなどはないため、10万円など高額な収入印紙を購入するならば最寄りの法務局を利用しましょう。
なお、法務局によっては、敷地外の離れた場所に収入印紙購入場所が設けられている場合もあります。

収入印紙の貼り忘れ・納付漏れ・消印がないなどの場合はどうなるのか

ここからは、収入印紙にまつわる失敗について解説します。
「不動産売買契約書に収入印紙を貼り忘れた」
「契約後、消印がないことに気付いた」
「間違った種類の収入印紙を購入・貼り付けてしまった」
上記のような場合、不動産売買契約や納税義務にどのような影響があるのか知っておきましょう。

不動産売買契約書に収入印紙がない場合

不動産売買契約書に収入印紙が貼られていなくても、契約が無効となることはありません。
しかし、収入印紙がない状態の不動産売買契約では「本来の収入印紙の金額+その2倍の金額」の過怠税が発生します。
(例)
5,000円の収入印紙が貼られていない場合、15,000円の過怠税を納める必要があります。
なお、上記のような過怠税が発生してしまう場合、所定の申出を行なうことで過怠税を「本来の収入印紙の金額+その10%相当額」とすることができます。
(例)
5,000円の収入印紙を貼り忘れた場合、所定の申出により、過怠税は5,500円となります。

について詳しくは、国税庁ホームページをご確認ください。

収入印紙が消印されていない場合

収入印紙が消印されていなくても、契約が無効となることはありませんが、「収入印紙の金額と同額」の過怠税が発生します。
なお、収入印紙の「消印」は「割印」と異なるものとなる点に注意しましょう。

間違えた金額の収入印紙を購入した場合

間違えて購入した収入印紙は、汚損や損傷がないものに限り、郵便局窓口で交換可能です。
収入印紙を交換する際は、交換対象の収入印紙1枚につき5円の交換手数料がかかります。
なお、交換場所はいずれも郵便局となります。収入印紙が法務局で購入したものであっても同様です。
また、収入印紙の返金や、現金との交換はできません。
(例)
1万円の収入印紙1枚を1,000円の収入印紙へ交換したい場合、1枚分の交換手数料として5円がかかり、1,000円の収入印紙10枚と交換となります。
300円の収入印紙10枚を3,000円の収入印紙へ交換したい場合、10枚分の交換手数料として50円がかかります。

不動産売買契約書に間違った金額の収入印紙を貼った場合

不動産売買契約書に印紙税を貼り間違えても、契約が無効となることはありません。
納付するべき金額以上の収入印紙を貼ってしまった場合は還付を受けることができますが、不動産売買契約書の作成日から5年を経過したものについては還付の対象外となります。
定められた期間内に、還付のための手続きを行ないましょう。
何らかの事情により不動産売買契約がキャンセルとなってしまった場合にも、すでに貼り付けた印紙の還付を受けられます。
誤って納付した印紙税の還付について詳しくは、国税庁ホームページをご確認ください。



まとめ

不動産の取引が発生した際は、売主様・買主様それぞれが印紙税を納める必要があります。
印紙税は成約価格によって納税額が異なり、契約時期によっては軽減税率が適用されます。
成約価格が高額になるほど必要な収入印紙の金額も高額となりますが、間違えて購入した場合は返金ができません(交換や還付は可)。
不動産売買契約を控えている方は、成約価格に応じ、適切な金額の収入印紙を購入できるようにしましょう。
不動産売買契約書に貼る印紙について不明点があれば、事前に不動産仲介会社へ相談してください。